1社目は、改革目的が社内合意されなかったケースです。システム部門主導で、老朽化した基幹業務システム刷新に伴う業務改革プロジェクトを立ち上げました。構想策定フェーズを進めるため、数社のコンサルティングファームから1社を選定し、半年におよぶ同フェーズを開始しました。グローバルの複数拠点がプロジェクト対象で、グローバルで業務プロセスを標準化し、業務データの見える化と経営判断への即時・有効活用をすることが大目的でした。経営者の肝煎りでスタートしたものの、時間とともに目的が曖昧になり何度もプロジェクト計画の軌道修正を余儀なくされました。
ポイント | 失敗の要因 | 教訓 |
①目的の未合意 | 経営層、経営企画部門、システム部門、各業務部門の間で、何のために取り組むかの合意がないままスタートし、いつまでも協力関係を築けなかった。 | 業務プロセスを整えて標準化→業務効率向上→全社で労働生産性を上げて収益向上を実現、という目的の整理が必要。経営トップが全社の方向性を示す必要がある。 |
②ムリな計画 | そもそもの改革範囲が広すぎて、実現不可能なスケジュールと費用で、誰も計画を遂行できると感じていなかった。 | 緻密で実行可能なプロジェクト計画の立案と、プロジェクトを実行可能な短い単位に区切り、小さな成果を積み上げる。 |
③実行に移さない組織 | ミドル層の面従腹背、陰でプロジェクトの批判があり、一向に合意形成がなされず進まない。計画だけ何度も軌道修正する羽目に。 | 経営層が決めたことをやり遂げる、会社を良くするという、一人ひとりの意思と実行力が必要。そのための意識づけも経営者の大切な仕事。 |
北極星、道しるべの話をしましたが、皆が目指すべき目標が明確でないと、協力体制も気づけません。「標準化」というキーワードも注意が必要です。何のために標準化が必要なのか、皆が同じ方法・手順で仕事を遂行することで、いかにムダが省けて効率化でき、継続的に生産性を上げ続けることができるようになるのかを丁寧に説明することが必要です。
そして、経営層も社員も、一度決めたことをやり切る覚悟が必要です。
