3社目は、これはどちらかというと外部の支援者に関するものです。意外に思われるかもしれませんが、外部の支援者も改革プロジェクトに慣れている人は意外に多くはありません。特に、大手コンサルティングファームやシステムインテグレーター(SIer)になると、チームで動くので、シニアなプロジェクトリーダーがプロジェクトを掛け持ちして、フルでプロジェクトに参画しないことも結構あります。経験の少ないサブリーダーや入社数年目までの若いメンバーが大量に投入されるケースもあります。お客様が大きな改革プロジェクトを実施するのは10年、20年に一度だったりもして、社内にノウハウがないので外部支援者に頼るわけですが、その外部支援者に推進ノウハウがないために、プロジェクトの全体工程表となるWBS(Work Breakdown Structure)を作れない場合が散見されます。WBSとは、プロジェクトマネジメントの手法で、作業単位を成果物に基づいて(成果物をイメージして)細分化・構造化して表すプロジェクト全体図のようなものです。作業工程の道しるべとなります。プロジェクトを小さな作業単位に分解することで管理しやすくなり、作業間の依存関係・前後関係を明確にでき、チーム全体の連携がしやすくなります。まず、WBSを時間をかけてしっかり作りましょう。
ポイント | 失敗の要因 | 教訓 |
①外部支援者のノウハウ | プロジェクトマネージャーの参画が低く、経験の浅いサブリーダーや入社数年以内の若手が大量投入された。 | プロジェクトマネージャーのスキル・ノウハウの確認、プロジェクト全体を通した参画工数の確認を行い、プロジェクトへのコミットメントを確実に合意する。参画者の一人ひとりのスキル・ノウハウの確認も。 |
②WBSを書けない | 外部支援者がWBSを明示できず、プロジェクトが絶えず迷走した。 | 外部支援者を選定する際に、プロジェクトの進め方や経験を十分に確認する。WBSは構想策定フェーズで時間をかけてしっかり作る。 |
③進捗管理 | WBSによる管理が疎かになり、進捗の遅れがプロジェクトの中盤になり噴出し、プロジェクト自体の大幅な遅延が発生した。 | WBSに基づいて進捗管理をしつこく行い、遅延やリスクの発生を予測して早期対策を練る。 |
プロジェクト管理に長けていない外部支援者が意外にいるので、外部支援者の選定時には、十分にプロジェクト推進ノウハウの有無を確認しましょう。
