改革プロジェクトでやること

プロジェクトの各フェーズ(段階)ごとに、やるべきことを列挙します。

① 準備検討フェーズ

 改革プロジェクトの実施前です。経営者の危機意識や変革に対する思いを共有し、何をやるべきかを考えるフェーズ。自社の問題点や課題を大まかに捉えて改革に向けたプロジェクトの立上げを検討します。ここでは、まだ少人数の検討チームを編成するに留めます。

  • 動向調査:世の中のトレンドや業界の動向を知る。
  • 現状分析:組織や業務の現状を把握し、問題点や課題を”大まかに”洗い出す。
  • 目標設定:改革の目的やゴールを明確にし、期待される成果を”大まかに”定義する。
  • ステークホルダーの特定と巻き込み:改革に影響を与える関係者を特定し、理解と協力を得る。いわゆる、根回し。
  • 次アクション:構想策定フェーズ立上げに向けた承認を得る。

② 構想策定フェーズ

 改革プロジェクトのスタート。構想策定フェーズを立ち上げます。外部のコンサル会社などの力も借りて、構想策定を推進します。プロジェクトの成否を分けるフェーズです。ここでコミュニケーションを間違えると、プロジェクトは失敗します。

  • 現状分析:準備検討フェーズで上げた問題点や課題を整理し、優先順位をつける。
  • 目標設定:改革の目的やゴールを明確にし、期待される定量・定性効果を定義する。
  • ビジョンと改革案の策定:将来の理想像(ビジョン)を描き、それに向けた具体的な改革案を検討する。
  • ロードマップ作成:改革を段階的に進めるための実行計画(マイルストーン、スケジュール)を作成する。
  • リスク分析:改革の実施に伴うリスクや課題を洗い出し、対応策を検討する。
  • コミュニケーション計画:社内外への改革に関する情報発信と共有方法を計画する。
  • 改革チームの編成:プロジェクトの推進役となるチームを選定し、役割分担を行う。
  • リソースと期間の確保:必要なリソース(予算、時間、技術など)とスケジュールを確認し、プロジェクトの基盤を整える。
  • 承認プロセスの確立:関係者からの正式な承認を得て、改革構想案を確定させる。

③ 実行フェーズ

 プロジェクトの実行段階。常に、構想策定で定めた目標に立ち返り、きめ細かい進捗管理と丁寧なコミュニケーションにより、スムーズなプロジェクト進行を心がけます。

  • 改革案の実施:計画に基づいて、改革案を具体的に実行する(業務プロセスの変更、システム導入など)。
  • 進捗管理:プロジェクトの進行状況を定期的に確認し、スケジュールや成果物の進捗を管理する。プロジェクトマネージャーは進捗の遅れがあった場合は、しつこくそのプロセスをフォローして問題を先送りにしない。
  • 問題解決と調整:実行中に発生する問題や課題に対処し、必要に応じて計画を調整する。
  • トレーニングとサポート:新しい業務プロセスやシステムの導入に伴う従業員への教育やサポートを提供する。
  • ステークホルダーとの連携:改革の進捗状況や成果を定期的に関係者と共有し、フィードバックを取り入れる。プロジェクトの進捗を見える化し、全社の改革機運を醸成する。

➃ 定着フェーズ

 当初目標が達成しているかを定期的に確認するプロセスを作り、改革プロジェクトの成果を刈り取る段階。ここからが真の改革スタートとも言えます。やりっぱなしで終わらせないプロジェクトフォロー体制を確立することが必須です。これまでのプロジェクトを見ていると、この体制を確立せず、せっかく培ったプロジェクト・ノウハウが継承されないケースが散見されました。活用されないと意味がありません。

  • 新しい体制・プロセスのモニタリング:導入された改革が効果を発揮しているかを定期的に評価する。
  • 評価と改善:改革の成果を振り返り、必要に応じて改善点や追加措置を検討する。
  • 文化・マインドセットの定着:改革の精神や新しい働き方が組織文化として定着するよう、取り組みを継続する。
  • 成功事例の共有:プロジェクトの成功事例を組織内で共有し、他の部門やプロジェクトへの展開を促進する。
  • 定期的なレビューとフォローアップ:改革が持続的に効果を発揮しているかを確認し、定期的なフォローアップを行う。

 各フェーズで、具体的な行動を絞り込み、プロジェクトが円滑に遂行できるようにすることが重要です。これまでのプロジェクト経験では、①経営者とプロジェクトにかかわる関係者の熱意、②きめ細かい進捗管理、③丁寧なコミュニケーションが、成功に向けて一番大切なポイントと感じています。