WBSの話で、プロジェクト管理の重要性をお伝えしましたが、プロジェクト管理の代表的な手法にPMBOKがあります。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたガイドブックで、主にプロジェクト管理の標準的なプロセスやベストプラクティスが記載されています。PMBOKは、アメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI: Project Management Institute)が発行しており、PMP(Project Management Professional)資格の試験にも使われています。エンジニアリングやITなど、多様な業界や規模のプロジェクトに適用できる汎用的なフレームワークとして設計されています。コンサルティング会社では、PMBOKに基づいて独自の導入方法論を整理されているところが多いです。
PMBOKは、ウォーターフォール型プロジェクト(順序立てた計画が必要なプロジェクト)という、要件定義から設計、実装、テスト、納品という一定の流れを持つプロジェクトに最も適していますが、最新のPMBOK第7版では、従来のウォーターフォール型のプロセス主導から、アジャイルやリーンなどの柔軟な手法と併用する考え方を取り入れ、計画が変更になることも前提としたハイブリッドアプローチを推奨しています。
プロジェクト特性の分類
予測型 (ウォーターフォール型) | 適応型 (アジャイル型) | ハイブリッド型 |
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・スコープ、時間、コストが可能な限り初期に決定される ・最終成果物を予測し、事前にしっかりと計画する ・計画の変更は承認される前に管理される必要がある ・ステークホルダーの参画は最小限 | ・大まかな計画は、プロジェクトが進むにつれて詳細化される ・変更の確率が高い ・ステークホルダーの参画必須 ・最終ゴールを説明するのが難しく、不明確、未知の要求事項が多い | ・両者の良い面を取り入れたもの ・予測できる部分 ・要素は予測型で進める ・変化が多い部分は、適応型で進める |
PMBOK第7版は2021年に発行され、プロジェクトがビジネスや顧客にとってどのような価値を提供するかに重きを置いており、プロジェクトを効果的に管理するための「12個のプロジェクトマネジメントの原理・原則」と「8つのパフォーマンス領域」にまとめられています。第6版までの知識エリア・プロセス中心のガイドから、プロジェクトの価値提供と柔軟な対応力を重視した新しいガイドラインとなり、この「原則」と「パフォーマンス領域」を活用することで、プロジェクトマネジメントにおける柔軟性やイノベーションを促進し、ウォーターフォール型からアジャイル型まで幅広いプロジェクトに適応できるようになっています。
12個のプロジェクトマネジメントの原理(原則)
責任の受容 | プロジェクトチームは、自身の行動とその影響について責任を持ちます。 |
リーダーシップの促進 | プロジェクトリーダーは、チームを正しい方向へ導くと同時に、プロジェクトのビジョンと目標を示します。 |
チームメンバーの支援 | チームメンバー同士が支え合い、成長し続けられる環境を整えます。 |
利害関係者との関与 | すべての利害関係者を特定し、彼らと協力しながら価値を提供するために関係を築きます。 |
価値の提供 | プロジェクトの進行において常に価値の提供を最優先し、成果に結びつけます。 |
システム思考の採用 | プロジェクトを環境や利害関係者のシステムと関連付けて捉え、全体を考慮して計画・実行します。 |
コンテキストへの適応 | プロジェクトの特性や状況に応じて、柔軟にアプローチを選択し、適応させます。 |
品質の維持 | プロジェクトのすべてのフェーズで品質を考慮し、期待を超える成果を目指します。 |
複雑性の管理 | プロジェクトに伴う複雑性を分析・理解し、適切に管理します。 |
リスクに対する回復力 | リスクを特定し、適切に対応するための柔軟な計画を策定し、回復力を持つチームを構築します。 |
変化の対応 | プロジェクト中の変化を積極的に管理し、必要な場合にスムーズに適応できるようにします。 |
連携の向上 | チームメンバー間で協力し、情報を共有することで、連携と透明性を確保します。 |
8つのパフォーマンス領域
ステークホルダーのパフォーマンス | 利害関係者の期待を理解し、関与させることで、プロジェクトの価値を最大化します。 |
チームのパフォーマンス | チームのメンバーが最大のパフォーマンスを発揮できるよう支援し、連携を促進します。 |
開発アプローチとライフサイクル | プロジェクトのニーズに合った開発アプローチ(ウォーターフォール、アジャイル、ハイブリッドなど)とライフサイクルを選択し、最適な成果を生み出します。 |
計画のパフォーマンス | プロジェクトの目的や範囲を計画し、価値提供に必要なリソースを効率よく管理します。 |
プロジェクト作業のパフォーマンス | 計画に基づき、プロジェクトの作業が効果的かつ効率的に実行されるよう管理します。 |
デリバリーのパフォーマンス | プロジェクトの成果物が顧客や利害関係者の要求を満たすようにし、価値を提供することに焦点を当てます。 |
測定のパフォーマンス | プロジェクトの進行状況やパフォーマンスをモニタリングし、必要に応じて修正を行います。 |
不確実性のパフォーマンス | リスクや不確実性を特定し、対応策を講じてプロジェクトの安定性を確保します。 |
見てみると、やはり「目的の設定」「コミュニケーション」「プロジェクト管理」に関する原則や領域が網羅されていることがわかります。ご興味があれば、ぜひプロジェクト管理の教科書ともいえるPMBOKを読んでみてください。
