ここまで、日本企業の経営改革・業務改革がうまく進まないこと、日本の生産性の低さと求められる改革、中堅・中小企業に求められる管理のしくみづくり、組織の成長に必要な知の見える化・体系化などについて述べてきました。ここからは、より強い組織、会社になるために、どう経営改革・業務改革を進めるかについて、自身の支援経験を踏まえてお伝えしていきたいと思います。
自律型組織による改革が成功の鍵である。
これが、企業の成長に向けた私の答えです。経営層、管理職層、現場担当者、協力会社、ひとりひとりが自律して動く会社は、改革プロジェクトにおいても能動的に協力し合い、円滑に進みますし、部門間の利害不一致があっても協力し合い、解決を図ります。では「自律」とは、どういう意味でしょうか。よく対比される「自立」との違いでポイントをまとめると、下記のようになります。
- 自律 … 自分の行動や意思を、自分自身で管理・制御すること。自己の内的な基準や価値観に従って、自ら意思決定し、行動すること。
- 自立 … 他者の助けを借りずに、自分自身の力で物事を成し遂げること。経済的、精神的に他者から独立していること。
自律は、内的な制御や自分の判断で行動する能力に重点を置きます。ひとりひとりが自立して動く会社では、
- 経営者が正しい道を示し、自らその改革をリードする。
- 管理職層がその意思を理解し、組織のハブとしてその改革を実践する。
- 現場担当者が、経営者や管理職層の強い意思を受けて、進んで協力するようになる。
- 協力会社は、当該企業の変化を感じて、より進んで熱心に協力するようになる。
といった好循環が生まれています。出発点は経営者が変革に向けた決意を表現するところから。
以降、28年の改革プロジェクトの支援経験より、事例に見る失敗と成功のポイントを解説しながら「自律型組織による改革」について考察していきます。
