2社目は、コミュニケーションエラーにより、プロジェクトがうまく進まなかったケースです。他社から来られた役員の大号令により、経営改革プロジェクトがスタートしました。ご自身の経験から、他社同様にムダのない筋肉質な体質に変える、ということでスタートしたものの、まずこちらも目的が明確ではありませんでした。ただ、こちらは何よりも、頭ごなしのコミュニケーションにより関係者の心が離れていったことが、失敗の直接の原因となりました。コミュニケーションエラーで失敗するケースは、結構多いと感じています。
ポイント | 失敗の要因 | 教訓 |
①目的の未合意 | 外部から経営改革のために来られた役員の鶴の一声で、経営改革プロジェクトがスタートするも、「何のために」という目的が十分に共有されていなかった。 | 当該企業のどこが問題なのか、何をすべきなのか、その間のギャップに向けてどう取り組むか、という問題点とあるべき姿、そのギャップを徹底的に関係者で議論する。 |
②従来のやり方に固執 | 今までのやり方を変えたくないミドル層の抵抗に合い、一つ一つの意思決定がなされず、プロジェクトが大幅に遅延した。 | 改善が染みついたミドル層は、やり方を大きく変えたがらないが、目的達成のために手段は柔軟に変えること。仕事のやり方を簡素化すると効率性も生産性も高まる。 |
③コミュニケーションエラー | 役員が常に命令口調のコミュニケーションを取り、プロジェクト関係者と意思疎通が困難に。 | 社員が自らの意思で行動できるよう自律化を促す丁寧なコミュニケーションと意思決定プロセスを取る。 |
目的と手段の関係で課題ツリーを作り、何のために取り組むのかを緻密に計算し、関係者で常に立ち返るために「課題ツリーを見える化」することが有効です。また、自律化(自分の行動や意思を、自分自身で管理・制御すること。自己の内的な基準や価値観に従って、自ら意思決定し、行動する)を促す丁寧なコミュニケーションにより、モチベーション高くプロジェクトに前向きに参画させるような配慮が必要です。人は誰しも、命令されて働きたくはないものです。お互いを尊重する姿勢が大切ですね。
