改革プロジェクトに役立つ経営理論や管理手法 (1)課題ツリー(目的の設定)

 ここからは、「成功と失敗の分かれ目」でお伝えした「目的の設定」、「コミュニケーション」、「プロジェクト管理」の観点で、改革プロジェクトに役立つ経営理論や管理手法についてご紹介してまいります。

(1) 課題ツリー(目的の設定)

 目的の設定と共有に有効な手法です。私は、”Value Engineeringの機能系統図”の考え方に基づいて、作成しています。機能系統図は、設計の考え方を一覧性を持って客観的に表現した図表です。機能とは、その対象が持つ目的や働きのことです。課題ツリーでは、「目的-手段」の関係で表現します。一番左に大目的(F0)を設定します。そこから、その大目的を達成するための手段(F1)は何か、次にその手段を目的とし、その目的(F1)を達成するための手段は何か(F11)、といった形で「目的―手段」を関連付けていきます。分岐するほど、具体的な手段が発想されていくので、

  • 何のために、その対象が必要なのか(目的)
  • どのようにして、その目的を果たそうとしているか(手段)

を理解しやすくなります。表現方法は、①名刺と動詞の関係で表現する、②「~を」「~する」という形式に統一し、体言止めなどによる解釈の齟齬をなくします。

課題ツリー(例)

 課題を見える化するのに、大変有効な手法です。特に、プロジェクトでは日々の作業に追われて、何のためにやっているのかが見えなくなりやすいです。プロジェクトの進捗会議で活用したり、プロジェクトルームに掲示したりして、経営者からプロジェクトメンバーまで、全員の共通認識にすることができます。ぜひ、実践してみましょう。